筋トレを頑張っても筋肉が増えないとお困りの皆さん、ただプランクを続けているだけではないでしょうか? プランクは確かに手軽ですが、筋肉をつけるための効果は意外と限られています。
今回は、開発部で新商品のアルゴリズム開発やプロアスリートの支援を行う佐藤が、タニタが提案する「真に効果的な体幹トレーニング」についてご紹介します。
筋トレの基本:筋肉の動作タイプ
「プランクの効果が限定的な理由」と「効果的なトレーニング方法」についてお話しする前に、まずは筋肉の動き方の基本、つまり「筋肉の動作タイプ」を理解しましょう。筋肉の動作は大きく3つに分類されます。
力を加えたときに筋肉が縮む方向へ動くことです。例えば、腕を伸ばした状態でダンベルを持ち、肘を曲げる動きがこれに当たります。
・筋肉の伸長動作(伸長性筋活動)
これは短縮性筋活動の反対で、筋肉が伸びる方向へ動きます。ダンベルを持った状態から腕をゆっくり伸ばす動きが例です。
・静止状態を維持する(等尺性筋活動)
筋肉が動かないまま力を発揮している状態です。プランクやバックブリッジがこのタイプに該当します。
この3つの中で、筋肉を効率よく鍛えて大きくするためには、特に「筋肉が縮む動き」と「筋肉が伸びる動き」が重要です。
体幹トレーニングの魅力と効果
多くの方が「プランク」を試したことがあるかと思いますが、その主な目的は、お腹周りの筋肉を含む体幹部の強化ですね。
プランクに挑戦することで、体幹を効果的に鍛えることが目指されます。
体幹トレーニングの重要性と基本
体幹とは、頭や手足を除いた体の中心部、つまり胴体を指します。
この中心部にある筋肉を集中的に鍛えるのが体幹トレーニングです。あらゆるスポーツにおいて、アスリートが体幹を鍛えるのは、それが四肢の動きの基盤となるからです。
実際、スポーツで見る動きの多くは体幹から始まり、肩や股関節を介して手足に伝わります。
したがって、高い運動パフォーマンスを実現するためには、体幹の力強さが不可欠です。
体幹の強化が健康への鍵
体幹の筋肉を鍛えることが、健康を長く維持する上で極めて重要です。体幹が弱ると、身体の動き全体がスムーズでなくなり、日常生活に支障をきたすことがあります。
例えば、歩行時に股関節がしっかり動かせないと、歩き方が乱れ、それが膝に余計な負担をかける原因となります。
また、体幹の姿勢を支える筋肉が衰えると、背中が曲がりやすくなり、長期的には腰が大きく曲がるリスクも高まります。
運動不足による体の不調が進むと、筋肉量が減少するサルコペニアのリスクも高まります。
健康的な生活を維持するためには、若いうちから体幹の筋肉を意識的に鍛えることが推奨されます。
体を変える! トップ5の体幹トレーニング方法
筋肉を効果的に増やし維持するためには、筋肉の「収縮」と「伸長」を促す運動が最適です。
以下に挙げる5つの体幹トレーニングをお試しください。
各トレーニングは10回×3セットを目安に行うことをお勧めしますが、実際のところは個々の体調や能力に合わせて、適度な強度感を持って行うことが重要です。
毎日全てのメニューを行う必要はありません。同じ筋群には最低2日間の休息を取り入れつつ、メニューを交代で行って、適切な回復時間を確保するようにしましょう。
オススメ体幹強化エクササイズ1:クランチのやり方
まずは仰向けに寝て、膝と股関節を90度に曲げます。この姿勢から上半身を持ち上げ、再び下ろす運動を行います。
上半身を持ち上げるときは、背中を丸めて、動作を大きく行いましょう。下げるときは、ゆっくりと行うことがポイントです。
上部の腹筋がしっかりと動いている感覚があれば、正しく行えています。
さらに、上半身を持ち上げる際に膝を腹に引き寄せることで、下部腹筋にも効果的にアプローチできます。
オススメ体幹強化エクササイズ2:レッグレイズの効果的な方法
椅子に座った状態で、足を持ち上げては下げる動作を繰り返しましょう。
足を持ち上げるときは、できるだけ高く、そして下ろすときは、ゆっくりと力を抜かずに行います。
この運動を行うことで、主に腹筋の下部に効果的な刺激が与えられるのを感じるはずです。
オススメ体幹強化エクササイズ3:デクラインシットアップの実践方法
傾斜付きのベンチを使ったシットアップ運動です。
ベンチに角度をつけることで、通常のシットアップよりも腹筋を広範囲に、かつ強く刺激できます。
上体を起こす動作は積極的に、下ろす動作はゆっくりと行いましょう。この方法により、腹筋全体に効果的にアプローチできます。
オススメ体幹強化エクササイズ4:バックエクステンションの進め方
ローマンチェアを使用したバックエクステンション運動です。
この器具を利用することで、上体をより広い範囲で動かすことが可能になります。
上体を持ち上げる際には肩甲骨を引き寄せることで、背中の筋肉を効果的に伸ばせます。そして、上体を下げる際はゆっくりと行い、背筋にかかる負荷をコントロールしましょう。
オススメ体幹強化エクササイズ5:バックアーチの効果的な実行法
うつ伏せになった状態から上体を持ち上げて下げる運動、それがバックアーチです。
手のひらは床から少し浮かせて横に保ち、足のつま先も床から離します。
上体を持ち上げるときには、手のひらを外側に向けて肩甲骨を引き寄せ、つま先をなるべく高く上げてください。この動作により、背中全体を効果的に鍛えることができます。
プランクの人気とその限界について
多くの方が体幹トレーニングとしてプランクを行っていますが、筋肉を効果的に発達させるためには、「筋肉の伸縮を伴う運動」が必要です。
プランクは体幹を固定する運動であり、筋肉が動かない状態で力を保持することから、筋肉の評価には向いていますが、筋肉を大きくするトレーニング方法としては適していません。
プランクが広く受け入れられたのは、体幹の重要性が認識され始めた時期に、その固定する効果が有効との誤解が広まったためです。
しかし、筋肉の発達には動的な運動が必要であり、生理学的に見てもプランクの効果は限定的です。より筋力を向上させたい場合は、筋肉を動かすトレーニングを行うことを推奨します。
日常で気をつけたい体幹保持のポイント
日々の生活の中で体幹の健康を維持するためには、常に正しい姿勢を心がけることが大切です。
年齢とともに弱りがちな「脊柱起立筋」は、重力に抗して姿勢を支える重要な筋肉ですが、この筋肉が弱ると腰が前に丸まってしまいます。
普段から意識して姿勢を正すことで、これを防ぎましょう。たとえ思い出すたびに姿勢を直す程度でも、何もしないよりは大きな差があります。
しかし、日常の工夫だけでは筋肉量の維持や向上は難しいので、今紹介したトレーニングを無理なく習慣化して、体を支える力をつけていきましょう。
まとめ
このテキストでは、体幹トレーニングの重要性とその具体的な方法を紹介しています。
体幹は動きの基盤となり、日常生活やスポーツパフォーマンスに影響を与えます。
プランクのように体を固定する運動も一定の効果はありますが、筋肉を発達させるには筋肉の縮む動きと伸びる動きを取り入れたトレーニングが効果的です。
また、日常では正しい姿勢を保つことで体幹を支える筋肉を強化し、健康を維持することが推奨されています。